極楽浄土を地上に表現しようと試みた日本唯一の庭園を持つ「毛越寺」

●パワースポットタイプ:四神相応
●アクセス:岩手県西磐井郡平泉町大沢
        公共交通機関/JR東北本線「平泉駅」から徒歩7分。車/東北自動車道「平泉・前沢IC」から約10分。
《概要》
毛越寺は嘉祥(かしょう)3年(850年)、中尊寺と同様に慈覚大師円仁(慈覚大師円仁)が開山し、奥州藤原氏二代・基衡(もとひら)、三代・秀衡(ひでひら)によって多くの伽藍が建立された寺院になります。

浄土庭園は、平安時代の庭園指南書である「作庭記」の様式で造営されたもので、国から「特別史跡」「特別名勝」の二つの指定を受けています。

大泉が池を囲む浄土庭園や平安時代の伽藍遺構は、ほぼ当時のままの状態で残り、特に庭園発掘調査中に発見された遣水(やりみず)《池に水を引き入れるために作った水路》の遺構は、平安時代のものとしては全国で唯一とされています。

復元された庭園では四季折々の花や景観が楽しめ、新緑の頃には、遣水に盃を浮かべて和歌を詠む「曲水(ごくすい)の宴(えん)」が開催されて、平安へとタイムスリップしてしまいます。

美しい景色を映す大泉が池のほとりに立つと、ワクワクした気持ちにさせられ、中心的伽藍であった金堂円隆寺跡では、思わず当時の四神相応(風水でいう最高の吉相)を想像し、大泉が池に浮く中島を安山(あんざん)《龍穴の前面を守る山》に見立てて眺めてみると、ここでは確かに風水が使われた痕跡が見てとれます。

風水的にみると、毛越寺境内遺跡の復元図によれば、浄土庭園は「背山面水(はいざんめんすい)」の構造をしています。

背山面水とは、「背後に山があり、正面に水がある土地」のことで、風水では理想的な周辺環境のあり方の一つとなります。

平安時代の末期頃にまとめられた「作庭記」は造園史家の間で最もよく研究されている書物ですが、この本の特徴的な点は、風水書であるということで、陰陽五行説に基づく理論など、実に様々な風水論が見いだせます。

例えば、「遣水事」には、建造物の周辺を取り囲む水が、時計回りに流れるか、反時計回りに流れるかを判断して吉凶を断ずる説明があり、これは三合派(さんごうは)《風水の一学派》の三合水法という理論の一つです。

《ご利益》
遣水を風水でいうと、「九曲水(きゅうきょくすい)」と呼び、金堂円隆寺を起点にすると、理気(りき)《方位を判断する風水理論》の三合水法からはあまり縁起がよいとはいえませんが、その美しい流れとせせらぎには、思わず心が癒されます。

山は「人との調和」を意味し、水は「財」を意味しており、山水の調和がとれたこの浄土庭園では、高ぶった神経を落ち着かせ、鎮静させる作用があるといわれています。

目に見えない圧迫感に生活を埋め尽くされ、精神的に追い込まれている人や、神経衰弱、胃腸神経症を抱える人たちが、心身のリズムを取り戻すにはうってつけの場所なので、心を水面に移して、ぜひ洗われてくる自分を感じてみてください。